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    Feature特集

    和歌山県有田川町 Vol.4

    2018年7月、和歌山県有田川町で、ヴィラ アイーダ(和歌山・岩出)小林シェフが発起人となり、1泊2日のイベント「G.G.プロジェクト 感性の授業」が催されました。県内外からの参加者に、有田川の自然や産業に触れ、地元の食材を使ったディナーを楽しんでもらうというもの。ディナーのサービス(配膳)は有田川町内の高校生が、料理は小林シェフの呼びかけで集まったシェフたちが担当。キュイジニエ・オンラインでは、このイベントの準備から当日までの、シェフたちの活動を取材しました。(全4回)

    PHOTO: CUISINIER編集部

    前回Vol.3でお伝えしたのは、イベント当日の仕込みの様子。今回は本番の様子をお届けします。

     

    夕方、アペリティフ会場。お客さんはこの日の昼前に和歌山に到着し、有田川の自然散策や産業体験をし、各自宿泊施設にチェックインをしてからアペリティフ会場へ、というスケジュールでした。

    シェフたちはその到着に合わせて、アミューズを仕上げていきました。

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ
    メツゲライクスダ・楠田シェフの、和歌山の鹿のゼリー寄せ。山椒、赤じそと合わせて。

    お客さんが集まったところで地元の方たちによる和太鼓演奏が始まりました。

    演奏が終わると、有田川町長さんの挨拶があり、続いてシェフたちも一言ずつ自己紹介。その後お客さんとともに会場の「やすけ」に移動です。

    • 黒文字の枝で串打ちしたアユ。提供に向けてじっくりと焼きます。

    ディナーが始まりました。

    • 盛りつけた料理を高校生に一皿ずつ手渡します。

    • シェフたちは打合せした様子もなくお互い手分けし、料理はスムーズに仕上がっていきました。

    • 囲炉裏で焼いたアユは、シェフの手から高校生の持つ皿に盛りつけられて客席へ。

    • 大人が目を配り、高校生のサービスをサポートします。アイーダの有巳さんがテーブルをまわって料理の詳しい説明をしていきました。

    • コースは滞りなく進んでいきます。小林シェフはときどきスピーチ原稿に目をやり、緊張を隠せない様子でした。

    • 終盤のイノシシ鍋。いろりで仕上げて椀に盛り、お客さんに直接取りに来てもらっていました。

    鍋料理が出終わると、高校生が帰らなくてはいけない時間になりました。参加者に改めて高校生が紹介されます。

    その流れで、小林シェフは高校生、会場の人たちに向けて、話を始めました。

    今回なぜ地元の高校生にも参加してほしいと思ったのか、自身の子供時代や高校時代の経験を交えながら話していました。

    小林シェフは特別大きな声は出していなかったように思いますが、有田川の夜は静かで、会場の全員に届いたようでした。

    スピーチ後、参加シェフも再度紹介され、一度会は締められました。

    料理が出終わり、デザート、バータイムです。

    • 一皿目のデザート。梅のシャーベットに、塩、ハチミツ。

    • メインのデザート。山椒とアマゾンカカオ。

    • お茶菓子。ぶどう山椒とハチミツのプリン、山椒ラムネ、スプーンにはセミドライの梅(Vol.3で川手シェフが作っていた)がのります。

    • プリンは数に余裕があったので、皆さんで試食。筒を吸って食べます。

    • ポンッと音が響いてプリンは吸い込まれました。一同爆笑。会場でも笑いが起きていました。

    • デザートのあとはバータイム。ライティングされた庭に出て、お客さんとシェフたちが交流しました。

    • 小腹がすいた人には、焼きおにぎりがふるまわれました。清水地域のお米で、仕上げに山椒がふられていました。

    • 閉会の時間。小林シェフはホッとした様子でした。

    お客さんはそれぞれの宿泊先へ。それから、スタッフの食事です。

    • シェフたちは再び厨房へ。楠田シェフの、鹿肉の燻製。

    • 山椒オイルをかけます。

    • 川手シェフはマカロンに挟んでいたリエットをサンドイッチに。

    • 残っていたアユはバターで焼いて

    • ビネガーで調味した野菜と合わせて、味をなじませます。

    • 付け合わせに使っていた黒米は、ワサビの葉で包んで一品に。

    • イノシシ鍋のリメイク料理。もとの料理とまったく違う味になっていたそうです。

    料理が並び、全員で乾杯。

    翌朝。

    撤収作業です。このイベントのために準備されたものはひとまず全て外され、「やすけ」の内装はもとに戻りました。

    厨房の片づけを終え、シェフたちも帰ります。

    • 途中、今回のイベントで利用した宿泊施設に立ち寄り、役場の方と参加者に挨拶。

    • 有田川を代表する景勝地、棚田「あらぎ島」。7月の青々とした稲。これから米を実らせます。

    「よかった! 最後にあらぎ島も見れたし、よかった!」 小林シェフはそう言い、車に乗りました。シェフのみなさんも有田川を後にしました。

     

    Fin.

     

    有田川町役場 産業振興部産業課
    0737-52-2111

    やすけ
    0737-25-1059 (受付:ふるさと開発会社「あさぎり」)

    (取材後記)

    取材中、ディナーが終わるまでの厨房は、通常のレストランの営業を見ているようでした。というのも、シェフの皆さんの動きがとてもスムーズだったためです。慣れない配膳を担当した高校生も、大人のサポートを受けながら問題なくこなしていました。閉会後の食事の時間、シェフやスタッフのみなさんの、すっきりと晴れやかな笑顔をたくさん見ました。きっと、いいイベントだったのだと思いました。

    もうひとつ、編集部員にとって印象深かったのは、有田川の夜空でした。日が沈んで随分たっても、空がほのかに明るさを帯びていました。アイーダのマダムの有巳さんに言うと、「岩出でもそうですよ(照明が少ないため微妙な光がかき消されない)」と言われました。真夜中、空はびっしりと星で埋め尽くされて、目が慣れてくるとその数はさらに増えていきました。

    地元の食材がふんだんに使われた今回のイベント。和歌山以外からもシェフが参加し、それぞれの視点で素材のよいところを見つけて料理しました。地元にあるから知っていることと、外から見ると気づくこと。有田川の夜の光と似ているのかもしれません。

    さて、編集部では今回のイベントを終えて、後日小林シェフにインタビューを行いました。記事は近日公開予定です。