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Feature特集

インタビュー Ode 生井シェフ グリーンコリアンダーシード

6月、和歌山の「ヴィラ アイーダ」の取材で偶然お会いした、広尾「オード」の生井シェフ(その際の記事はこちら)。その後、生井シェフがお店で、アイーダの畑のフレッシュ(グリーン)コリアンダーシードを使っていると聞き、編集部は取材にお邪魔しました。コリアンダーシードを使ったメニューはデザート。一皿作っていただき、そのデザートと季節のいっときだけの素材について、お話を伺いました。

PHOTO: CUISINIER編集部
  • 「オード」の生井シェフ。お邪魔したのはランチ後でした。

  • コリアンダーシードはピクルスになっていました。

  • ピクルスはライチと合わせてデザートに使われていました。構成要素は、コリアンダーシードとシナモンバジルでマリネしたライチに、リュバーブのソース、ライチのクリーム、ヨーグルトのパウダーアイス。

  • 器にソースとライチ、クリームを盛りつけたら、客席へ。ヨーグルトのパウダーアイスをふりかけます。

編集部  フレッシュのコリアンダーシードは、先日アイーダさんで食事をされたときに知ったのですか?

生井  いえ、以前から知っていました。というのも、(これまでも幾度かアイーダから野菜を送ってもらっているのだが、)小林さんはときどき、お願いした以外にもそのときにあるものを箱に入れてくれるんです。それで入っていたことがあって、いいなと思っていて。

編集部  最初からデザートに使おうと思っていたのでしょうか。

生井  いえ。最初は料理にしようかと思っていました。たくさんあったので、ひとまずその場で使いきれない分は保存のためにピクルスにしたんですけど……こうした種とか、花とか蕾とかって、たいがいは塩漬けやピクルスにするじゃないですか。
それで、はじめは料理にしようかと思ったのですが、コリアンダーの風味が、もしかしたら甘いものに合わせても嫌な感じではないんじゃないかなって。爽やかな、酸味のあるデザートだったら、すがすがしいものとして成立するなあと。

編集部  リュバーブが入っていますね。

生井  はい。あと、ライチと、ヨーグルト、シナモンバジル。シナモンバジルだけでなくコリアンダーシードの風味があることでハーブの複雑みが加わって、美味しくいただけるかなと思いまして。けっこう料理に近い感覚です。咀嚼のときに、(コリアンダーシードの)全く違う風合いというか、トーンがバンッと出てきて、また食べ進むと一体になっていく感じが、面白いかなと。

編集部  コリアンダーがなくても、そのままでも美味しいデザートですね。でも、途中でバッと出てきます。

生井  お客様によってはちょっと、個性が強すぎって言う方もいらっしゃいますけど。今、デザートを3つ出していて、これはふたつ目なんです。しっかりとした甘い物の前、のような感じで。ひとつ目はもっと刺激が強くて、赤紫蘇と、山椒のデザートです。
お肉料理のあとに、口の中をさっぱりさせる感じでひとつ入れて、その次にこれ。で、少し不安になったところで、甘いものを食べていただく(笑)。

編集部  (笑)。コリアンダーって、一瞬わからないですね。

生井  そうそう。あれ、なんだろうって思って、少ししてからわかる感じですね。

編集部  ピクルスはどのように作っているのですか?

生井  ピクルス液は、白ワイン、白ワインヴィネガー、ハチミツがベースです。コリアンダーの実を外した後の枝を入れて香りや風味をじゅうぶんに移してから、実を入れてすぐに火から外します。それでも色はとんでしまうのですが、なるべく、そのフレッシュな食感を残しながら、ピクルスにしたいんですよね。好みがありますが、僕は好きなので生でも食べられます。

編集部  野菜はよく小林さんから仕入れているのですか?

生井  今シーズンは頻繁にお願いしています。前のシーズンまでも、ときどき野菜を送っていただくことはあったのですが、今シーズンは、夏野菜の前くらいで「もっとたくさん使いたい」と思いまして。

編集部  どうして小林さんの野菜を使おうと思ったのでしょうか?

生井  途中の時期のもので、今料理に落とし込んだら面白いなと思うものがたくさんあるからです。まだ小さいズッキーニや、花ズッキーニも雄花だけのものもいっぱいあって。他にも緑ナスの小さいものや、白タマゴナスとか。ピクルスにしようかな、などいろいろ考えられます。
今まで、軽井沢のお店(ウルー)で働いていたときは農家さんに近かったですし、成長過程の野菜をいただいてきたので、料理にそうした素材を取り入れるのはわりと自然な流れではあります。ただ、軽井沢はまだ、夏野菜が始まっていないんですよね。和歌山のほうがはやいので、今の時期(6月)に使いたいというのと。あと、野菜、美味しいです。詳しいことはわからないですけど、普通に食べて、とても美味しいと思います。

それに、あの時期のあのサイズのものを使える、料理人としてメニューを考えられるというのは、贅沢だと思います。そのときにしかない仕立てがありますし。……すごく、そう思いますね。

 

Fin.

 

生井シェフ、誠にありがとうございました。

 

Ode(オード)
https://restaurant-ode.com/

  • 撮影時、営業時よりもリラックスした様子の生井シェフとスタッフさん。スタッフの皆様も、ありがとうございました。