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    Serial連載

    川手 寛康連載インタビュー Portrait

    Vol.4  2016年8月 アジア・ワールド50 (1/3)

    神宮前「フロリレージュ」のシェフ川手寛康さんに、国内外でのご自身のさまざまな活動について、編集部が伺ったお話を中心にお届けする連載です。

    第4回は、2016年、フロリレージュが「アジアのベストレストラン50」(※)で「注目のレストラン賞」を受賞した年の、8月のインタビュー内容です。

    ※飲料メーカー「サンペレグリノ」等によるレストランを対象としたアワード。

    アジアやワールド50にランクインするということ

    ――アジアやワールド50について、現状(2016年8月現在)、どんなことを感じていますか?

    アジアのベスト50は今年、日本のレストランが50店中10店入りました。(対象となっている)国の数に対して、日本の割合が大きいですよね。(アワードに関しては、)世界がボーダーレスになっている、国や地域同士の間がせまくなっていることを感じます。そういう流れが、だんだんうまれている。

    今までは、(レストランの評価と言うと)ミシュランが絶対、というところがあったと思うのですが、それがだんだん、(アジアやワールド)50いいよねって、興味を持つ人が増えてきて。50は今のところ、夢のあるものだと思います。

     

    ――基準がミシュランとは違いますよね。

    違いますね。アジア50の場合、アジアを6つのブロックに分けていて、各ブロックに1人ずつのチェアマン(評議委員長)と、複数名の審査員がいます。その人たちの投票でランキングが決まります。日本は単独でひとつのブロックになっていて、ひとつの国に1人のチェアマンがいるということは、日本はアジアの中で比重が高いと言えますね。

    でも、そういうのは、たぶん知っている人は(この取材時は)ほとんどいない。でも、僕たちが入っていくと、そういうシステムで、そういうことをやっていて、あのランキングに入っていくと、世界的に興味をもってもらえるレストランになれるんだなっていうのを、うっすらとみんなが気づき始めていて。

    やっぱり、ワールドワイドになってきているじゃないですか。日本人だけのために料理を作ればいいっていうものではなくなってきている。うちの店なんてまさに、日本人だけで満席にするのは大変なのですが……。1~2割の外国の方がいて満席になるっていうのが理想形。そう考えたらどこで評価されたらいいのか? どうしたら、世界の人が知るっていうことになるのか。

    50に入ると、突然世界の窓が広がって、突然世界のシェフたちと知り合いになって、突然世界の人たちがお客さんとしてやってくる。それが50なのかなって。50はアジアやワールド、ラテンアメリカもある。そのなかでみんなが目指すのは、ワールド。まずはアジアで頭角を現さないと、ワールドには入れない。

     

    ――50を意識されたタイミングは?

    (カンテサンスの)岸田さんが選ばれたときですね。すごいな、そんな世界があるんだって。ただ、自分のお店では、その50をイメージしながら営業なんてやったことはありませんでした。でも、(移転前の)旧フロリレージュをやめる1年前くらいから、「もしかしたら狙えるんじゃないかな」っていう雰囲気が出てきたように思いました。

     

    ――それは具体的には?

    審査員の人が明確にわかるようになったり、世界中のシェフが食べに来るようになったりして。

     

    ――それ以前から外国のお客様はいらしていたのでは?

    そうですね。でも、今よりもずっと少ないです。それが、なんだかわからないけれど、海外の有名なジャーナリストが食べに来ていたり。ここ1、2年ですごくそうなった。なんだろうなって思っていたら、アジア50(の、注目のレストラン賞)に。

    アジア50も、最終的には若い子たちが未来を見ることができるようなアワードに変わっていくといいなと思います。僕みたいに個人で店をやっている人間が、去年(この年の2月に発表された2016年版)はワントゥウォッチですけど、今年(次回)はもしかしたら(50に)入れるかもしれないって。……もちろん、(レストランの中の仕事だけでなく)いろいろなシェフたちと仲良くなって、海外でも仕事をするようにはなっていますけれど、特別な活動をしているわけではないですし。

     

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