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    Serial連載

    小林 寛司La vita di naturale 日々をつむぐ料理

    Vol.6  友人の来訪

    6月、編集部が取材でアイーダを訪れると、小林シェフが「明日、高田さんが来ますよ」と言いました。大阪「ラ・シーム」の高田シェフのことで、小林シェフとはお店が同じ関西圏ということもあり、日ごろから交流があるそうです。今回は、アイーダに高田シェフら友人の料理人が訪ねてきた日の模様をお届けします。

    PHOTO: CUISINIER編集部
    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ

    季節は初夏。クチナシが香りを放ち、畑のセージも花を咲かせていました。

    厨房に入ると、小林シェフはアーティチョークを掃除中。小林シェフは前日から、これをどう料理しようか思案していました。

    • アーティチョークは、和歌山の桃農家さんから届いたものでした。

    • この時期の畑の主役は夏野菜。スライスしたナスをプラックで一気に焼き、オリーブオイルとバジリコでマリネします。

    • サヤインゲン。豆はそろそろ、終わりです。細くやわらかなものを選んでパスタに使います。

    • 小林シェフは少し緊張した様子でした。

    • もうすぐランチタイム。マダムの有巳さんは、直前に決まるメニューカードをテーブルに置いていきます。

    • 「今日はエプロン変えよう」小林シェフはそう言って、いつもと違うエプロンをしました。

    • 大阪「ラ・シーム」の高田シェフがやってきました。同席者は広尾「オード」の生井シェフです。

    あいさつもそこそこに、コースが始まりました。

    • アミューズのタルトは、キュウリ、ミョウガ、花ズッキーニ。

    • 出始めのカツオ。トマティーヨやオカヒジキと合わせます。

    • ナスはカマスと合わせて。ソースはホロホロ鳥の内臓を使ったもので、少しスパイシーです。

    • アーティチョークは、素揚げにしてフェンネルの花のフリットと一緒になりました。

    • 初夏の種類豊富な野菜。それぞれに調理して一皿に盛り込みます。

    • ピクルスやフレッシュの素材も一緒に、トマトソースをひとぬりした皿へ。

    • ひとり分ずつ違う皿に盛りつけられ、シェフたちのテーブルに運ばれていきました。

    • ポーチドエッグ。半熟で引きあげます。

    • 豆のラビオリとセージバター。熱々を皿に盛ってサヤインゲン、初夏のハーブで覆い、卵を添えます。

    魚、肉を出した後、小林シェフはパスタをもう一品作り始めました。

    • ミニトマトをカットし、ロングパスタをゆでます。

    • ニンニクオイルを作り、ミニトマトを入れてソースに。

    パスタを引きあげてからは、瞬く間でした。

    よくよく湯をきってソースの鍋に入れると、少しでも早くというように箸をまわしてからめます。

    小林シェフは片手に鍋を持って盛りつけ台を振り返り、まな板の上のバジリコを包丁で粗く素早くたたき鍋に入れ、ざっと絡めて皿に盛りチーズをふると、「早く!」と小さく叫びました。

     

    パスタを見送って、「今年一番(最初)のトマトソース。うちもまだ食べてない」とシェフは言いました。この年の夏野菜は概ね順調に実っていましたが、トマトは品種によってばらつきが大きかったようです。

    食事を終えると、高田シェフ、生井シェフはお店の奥のサロン(応接室)に移り、小林シェフも腰かけました。静かな会話の時間がすぎていきます。

    • お店の窓から。中庭のオリーブの木に実がつき始めていました。

    • 夕方、ディナーの準備を始める時間。

    • シェフたちが帰っていきます。

    見送りを終えた小林シェフはサロンに戻っていきました。そして少しほっとした様子で椅子に座ると、さっとまかないを済ませました。

    サロンの窓から、ふわふわとした花が咲いているのが見えました。シェフに聞くと、「ネムの木」の花でした。

    その後はいつも通り、ディナーが始まりました。

    シェフは営業の料理を作りながら、いつも通り、まかないの煮物(肉ジャガのよう)を作り始めました。

    「スジと残りもんでね。明日畑なんで、ちゃんと作っとかないと、すごいことになります(料理を作る時間がない)。酒1、醤油2、砂糖1ね」

    翌日は田植えです。

    片づけをするシェフの動きは、いつもよりさらに速いように思いました。

    「デザートが出たら掃除が終わってるのが理想です。だらだらやりすぎ」と小林シェフ。片づけについて、シェフはときどき同じことをこぼしていますが、その日は何か、とくに思うところがあったのかもしれません。

    肉ジャガがいい色に煮上がると、シェフは「腹ペコ!」と言って、結局その日にほとんど食べてしまいました。

     

    Fin.

     

    翌日の田植えの模様は、後日お届けする予定です。

    ところでこの時期、アイーダではフレッシュのコリアンダーシードを収穫していました。広尾「オード」の生井シェフが、このコリアンダーシードをお店で使っていると聞き、後日取材に伺いました。

    その取材記事はこちらです。
    特集「インタビュー Ode 生井祐介さん グリーンコリアンダーシード」