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    Serial連載

    小林 寛司La vita di naturale 日々をつむぐ料理

    Vol.7  Album aida ガーデンパーティ

    和歌山のレストラン「ヴィラ アイーダ」の日常を、編集部の取材をもとにお届けします。

    さまざまな花が咲き、緑は鮮やかさを増す5月。アイーダの庭に親しい人たちが集まり、小さなパーティがひらかれました。
    (2018年5月取材)

    PHOTO: CUISINIER編集部

    パーティ前日

    朝から雨がしとしと降っていました。
    これからのびる夏野菜にとってはうれしい雨ですが、明日はガーデンパーティです。

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    • 庭のテーブルは前の週小林シェフが作り直していました。

    • お昼は肉じゃがです。色々な肉と、生姜がゴロゴロ。

    • 大きくなった蚕豆。アイーダではそろそろ終わりです。

    • 明日のデザートの仕込みが始まりました。

    • マスカルポーネをほぐし、クリームはとろりと泡立てて

    • 卵黄とグラニュー糖は湯せんにかけながらすり混ぜます。

    • 傍で有巳さんはパテの仕込み。

    • マスカルポーネ、卵黄、クリーム、珈琲リキュールを混ぜ

    • しっかり立てたメレンゲをダマなく合わせて

    • エスプレッソを染みさせたスポンジ生地にのせます。

    • その上に重ねた生地にもエスプレッソを打ちます。

    • スポンジからあふれそうなくらいにたっぷりと。

    • 夕方、雨が少し弱くなってきました。

    翌朝

    • 雨が上がり、快晴。小林シェフはパーティの前に、お店の近くをひとまわりしに出かけました。

    • パーティの翌日は籾(もみ)播きの予定です。

    • 水につけておいた籾を、トレーに敷いた土に播きます。

    • 畑の隣ではアーティチョークの蕾がふくらんでいました。

    • 大きくなってほしいけど、なかなかならないそうです。

    • お店に戻るとテーブルが準備されていました。

    • 「オテル・ド・ヨシノ」手島シェフ。ソースを持参です。

    • チェックのシャツは「ダ ルーポ322」の森シェフです。

    • 手島シェフはリ・ド・ヴォーをソテーし始めました。

    • 森シェフはアーティチョークの下処理。

    • 続いて、アイーダの蚕豆をレモンの葉っぱと蒸し煮に。

    • テーブルにおつまみが並べられ、パーティが始まります。

    • 森シェフがセモリナ粉と炭酸水をさっくりと合わせて

    • アーティチョークをフリットにします。

    • 手島シェフの仔牛も焼き上がり、テーブルへ。

    • 『専門料理』の取材チームもいらしていました。

    • 仔牛とフランス産モリーユのクリームソース。春です。

    • 『専門料理』アイーダ連載担当の編集さん。

    • マダムの有巳さん。いつもにぎやかで盛り上げ上手です。

    • 手島シェフは肉料理をもう一品。

    • 仔羊。こちらも春の組み合わせです。

    • 「ソースはたっぷり、たっぷりかけて!」と手島シェフ。

    • 小林シェフはキッチンをどんどん片付けていきます。

    • 同時にイカスミのリゾットも作っていきます。

    • ふだんの営業では見かけない料理です。「普通の料理」

    • と言いながら、とても楽しそうに作っていました。

    • 鍋が可愛いとシェフに言うと、「でしょ」と答えました。

    • シェフは、リゾットが減るとそわそわし始めました。

    • 再びキッチンに戻り、ニンニクオイルでトマトを炒めて

    • ゆで上がったパスタをよく絡めて

    • モッツアレラと刻んだバジリコをさっと混ぜる。

    • 手島シェフは本当に嬉しそうに料理を食べていました。

    • 日が暮れてきました。いったん締めて、デザートに。

    • 小林シェフが「ふわっふわっ」というティラミスです。

    • 一息つき、手島シェフはインタビュー取材がありました。

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ

    夕方をすぎても、まだまだパーティは続きました。ハトやイノシシが焼かれ、おなかがいっぱいになってきたら茹で上げたアーティチョークをのんびりかじり、落ち着いたところで自家製カラスミのパスタ。森シェフが、持参した素材とアイーダのキッチンにあるもので自由に作った料理です。この日のアーティチョークは森シェフのお店の近くで育てられたもので、茎を長く残して切られていました。とれたてはアクが少ないそうで、フリット用に蕾を掃除する際、レモン汁を使っていませんでした。

    森シェフはガクをはがしながら、「軸(茎)が美味いんですよね」と言いました(軸はガクのつけ根や蕾の中心よりも、甘みも苦味も強く感じました)。

     

    パスタを食べ始めると、麺の太さや茹で上がりのタイミングについて話すイタリアンのシェフたち。それぞれの感覚の中に、通じる部分もたくさんあるようでした。手島シェフは最後まで、嬉しそうに美味しそうに料理を食べていました。

    もうしばらく飲んで、甘いものをつまんで、解散。翌日はそれぞれのお店で仕事です。帰り際、手島シェフは、言いました。「美味しかった。僕、彼らの料理が大好きなの。イタリアンのシェフたちは、僕たちにできない料理をすると思う。トマトソースだって、ともすれば僕たちはヴィネガーを入れたり、煮詰めたりしてしまうけど、彼らはそれをせずに本当に美味しいものを作る」

     

    籾播き

    パーティの翌朝は、準備してあった籾(もみ)播きです。編集部員がアイーダにつくと、すでに籾播き自体は終わっていて、トレーを日当たりのよい場所に運んでいるところでした。小林シェフのお父さんや、親せきの方も総出で(その他に、東京のレストランから研修の方もいました)、次々とトレーが運ばれていきます。トレーを近くでみると、土の隙間にちらちらと籾が見えていました。土を敷き詰めた上一面に籾を播いて、さらに土をかぶせるのだそうです。「この土は、今は専用のものが売っていますが、昔は田んぼの土を根っこや雑草を取り除いてから使ったんですよ」と小林シェフ。トレーを全て並べ終わると、アーチ状に支柱を立て、シートを広げてかぶせました。温かくして、発芽を待ちます。

    有巳さんは背が高くなり始めたトマトの先を摘み(実りをよくするため)、小林シェフはこれから大きくなるピーマンを支柱にとめていました。夏野菜の本番がはじまります。

    お店に戻ると、摘んだばかりのズッキーニの花がザルに盛られていました。ほとんどの花が目一杯にひらいています。「全部咲いちゃった。昨日の夕方とらなかったから。本当はこのくらいでとりたいんですよね」と、蕾の先だけが少しひらいた花を手にしながら、小林シェフが言いました。シェフはそれらをきれいに水で洗うと、花びらをちぎりました。ひらいた花びらは味が淡く、ごく軽いえぐ味を感じる程度ですが、ガクつきの根元は花特有の、香水のような香りが強く、甘みもあります。シェフはここに、炒めた花びらを詰めて一品に仕上げていました。

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ

    この日のお昼ごはん(まかない)の予定は挽き肉のカレー。アイーダでは、まかないは小林シェフが作ることが多いようです。「肉はよく炒めて、パチパチするくらいまで。市販のルウを使うなら、水の代わりにかつおとか昆布のだしを使うといいですよ」と、家庭で作るときのコツを教えてくれました。

    取材の合間、ティラミスをいただきました。やわらかく甘く、きりっと苦いティラミスでした。

     

    帰り際に奥の応接室を見ると、箱いっぱいに収穫された、今年最後の蚕豆が。乾燥させるそうで、今年のメニューにはもう、フレッシュの蚕豆がのぼることはありません。

    Fin.