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    Serial連載

    髙橋 雄二郎ル スプートニクのデザート

    Vol.11 蕗の薹のグラス

    蕗の薹の苦味と香りをいかしたアイスクリーム。個性的な風味は季節感にあふれ、アヴァンデセール(一皿目のデザート)としてはもちろん、アミューズにも向きます。

    PHOTO: MASAKO KAKIZAKI

    Elément de configuration

    蕗の薹のグラスの構成要素

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    • 蕗の薹のグラス

      蕗の薹のグラスの作り方

      1. 牛乳を沸かして砂糖を溶かし、縦半分に切ったフキノトウを加えてプラックの端で30分アンフュゼする。
      2. ハンディブレンダーで撹拌し、漉す。
      3. 生クリーム、水あめを加えて急冷し、アイスクリームマシンにかける。
    • 蕗の薹のフライ

      蕗の薹のフライの作り方

      1. フキノトウのガクを160℃の油で素揚げする。
    • 粉糖

      粉糖

      揚げて油をきったフキノトウのガクにふります。

    蕗の薹のグラスの組み立て

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ
    平皿を使用。

    Column こぼれ取材

    編集部――この連載では、野菜を使うのが初めてですね。どうしてこのデザートを作ろうと思ったのですか?

    髙橋――フキノトウって、山菜の中でも苦みが強いですよね。味がわかりやすくて、それ単体でけっこう、一品作りたくなるような素材というか。手を加えても特徴がはっきり出るので、加工しやすいというか。

    たとえばタラの芽だけで何か(デザートを)作ろうとすると、特徴がわかりづらくないですか? もちろんタラの芽も苦味はあるんですけど。

    編集部――フキノトウとは違いますね。ほろ苦い感じ。

    髙橋――食感がいいんですよね。タラの芽に関しては。だからあれを、たとえばアイスにしたら、逆にもったいない。ワラビとかウドも、あの味と、食感と。それぞれに特徴の使い方があるじゃないですか。そういう中で、フキノトウは、甘みがあると苦味も適度におさまり(美味しく食べられ)ますし、使い方的にも、(手を加えていて)フレンチらしいんじゃないかと思います。

    でもフキノトウによって、苦味が強いのと弱いのがあって、ぜんぜんアイスに苦味が移らないこともあるんですよ。困ったことに(笑)。

    編集部――ああ、味見して分量を調整するんですね。

    髙橋――もちろん。アンフュゼ(煎じる)しても味が出てこないのがあるんで、マシンでまわす前に味を見ます。……でもやっぱり、フキノトウのデザートと言えば、中目黒のスゥリルさんのスフレ(フキノトウ風味の熱いスフレにイチゴジャムを添えるスタイル)。あれはすごい。

    編集部――いただいたことがあります。とても美味しいですね。

    髙橋――特徴の苦味を、意外なタッチで新しい側面を見せるという。そういう点でも、やっぱり、料理人としては使いたくなる素材じゃないですかね。主役にもってきたいというか。

    編集部――フキノトウのほかに、野菜を使うことはありますか?

    髙橋――アイスクリームはけっこういろいろやってます。あの、デザートという感覚ではなくて、料理の。たとえばキノコとか、トウモロコシ、サツマイモ、ニンジンとか。実はこれ(フキノトウのグラス)もデザートとしては出してないです(笑)。

    編集部――えっ、そうなんですか?

    髙橋――位置づけとしては、コースの序盤戦で、季節感を前面に出してというところです。

    編集部――季節感という意味でも分かりやすい素材ですね。野菜をデザートにあまり使わないのはどうしてでしょうか?

    髙橋――……なんか、もったいない気がします。アヴァンデセール(一皿目のデザート)だったら、このフキノトウはいいんですけど……たとえばサツマイモとか、トウモロコシのアイスが出てきてもうれしくないなと。

    編集部――野菜はデザート感が薄いのでしょうか。

    髙橋――というよりは、希少感もあると思います。フキノトウのアイスは、季節感が強いし、苦いし、いろいろな意味で希少感があります。トウモロコシとかサツマイモは、アイスにしそうじゃないですか? 味も想像がしやすい。というところで、デザートで出てきても、あんまりうれしくない……かなと。

    編集部――意外性のところですかね。でもよかったです。このフキノトウのアイスは、デザートとして紹介しても大丈夫ということで。一応、デザートの連載なので。

    髙橋――(その前の)料理に使わなければ、ですよ。

    編集部――そういえば以前取材で、真鴨に合わせていたことがありました。

    髙橋――フキノトウの苦みって、料理人としてはやっぱり、使いたくなる特徴なので。苦味を何かと合わせて、季節感プラス、味の相乗効果も狙えて、インパクトを与えやすい食材ですよね。だから、どこで使うかっていう。「アヴァンデセールで使っていいのか!?」という(笑)。

    編集部――ああ、そういう「もったいない」ですか。