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    Serial連載

    髙橋 雄二郎ル スプートニクのデザート

    Vol.4 茸のクレープ

    クレープ生地が主役の一皿。二種のキノコパウダーでうまみをきかせた生地をたっぷりのバターで焼き、手早く盛りつけて焼き立ての香りや食感を味わってもらいます。キノコパウダーのひとつは、発酵マッシュルームを使用。生地自体に完成された美味しさがあるため、ごくシンプルな仕立てが向きますが、ここではソースやアイス、トリュフで、甘み、温度差、香りなどの要素を加え、レストランのデザートにまとめています。

    PHOTO: MASAKO KAKIZAKI
    • Elément de configuration

    茸のクレープの構成要素

    下の各パーツをクリック(タップ)すると、作り方や使い方が表示されます。

    • キノコのクレープ生地

      Pâte à crêpe

      キノコのクレープ生地の作り方

      1. 薄力粉、コーンスターチ、マッシュルームパウダー、発酵キノコパウダーを合わせて混ぜ、全卵、卵黄を加えて混ぜ、牛乳でのばす。溶かしバターを加えて混ぜ、冷蔵庫で一晩ねかせる。
      2. フライパンに多めのバターを溶かして1を流し、両面を焼く。

      ※マッシュルームパウダー、発酵キノコパウダーはそれぞれの作り方を参照。

    • キノコアイス

      Glace aux champignons

      キノコアイスの作り方

      1. マッシュルームをオリーブ油で炒め、水分が少なくなったら牛乳を加え、プラックの上などで1時間ほどおいて香りと風味を移す。
      2. ボウルに卵黄、グラニュー糖を合わせてすり混ぜ、漉した1、生クリームを加えて混ぜる。
      3. 2を鍋に入れて火にかけ、とろみがつくまで炊き、急冷する。アイスクリームマシンにかける。
    • キノコソース

      Sauce oux champignon

      キノコソースの作り方

      1. 鍋にオリーブ油を熱し、玉ネギを炒める。マッシュルームを加え、水分をとばすように炒める。
      2. 赤ポルト酒、白ワインを加えて煮詰め、ブイヨンを加えて煮詰める。発酵キノコの液体(発酵キノコパウダー参照)を加えて煮詰める。
      3. 牛乳、生クリームを加え、黒胡椒、塩で味をととのえる。バターとともにミキサーでピュレ状にし、漉す。
    • キノコパウダー

      Poudre de champignons

      キノコパウダーの作り方

      1. マッシュルームを乾燥させ、パウダーにする。
    • 発酵キノコパウダー

      Poudre de champignons fermentés

      発酵キノコパウダーの作り方

      1. マッシュルームを塩とともに真空包装して発酵させる。
      2. マッシュルームの水気をきり、乾燥させてパウダーにする。液体はキノコソースに使う。
    • トリュフ

      Truffe

      トリュフ

      仕上げに削りかけます。

    組み立て

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ
    平皿を使います。

    Column こぼれ取材

    編集部 このクレープ、以前卵とキノコが入ったお料理を取材させていただいたことがあります。

    髙橋 もともとは、それは入っていないんです。

    編集部 もともとは?

    髙橋 本当は、卵とキノコを入れたくないんですよ。(シンプルな)ガレットとして提供したいんです。なんでかと言うと、クレープ生地が美味しい。それをアラミニッツで焼いて、バターをのせただけで出したいという気持ちが、ほんとは一番強いです。
    でも、それだと、(コースの)どこの場所で出したらいいのかがわからない。アミューズの部類にも入れづらいですし、でも、具が入っていないのに料理の途中で出てくるのも変ですし。デザートとして出すにしても、たとえばデザートコースの一品だったらいいんですけど、うちの店のコースでは出す場所が見つからない。もう少し手をかけてあげないと。

    編集部 焼いてバターをのせるだけって、きっと、焼き立ての熱々をパパッと食べる感じの美味しさですよね。

    髙橋 そう。焼き立てで出したいなあっていう気持ちはあります。だから、今回の仕立てでも、生地はアラミニッツで。料理でいろいろ盛り込む場合は、火口の数の関係もあって生地を焼いておきますが、これは生地を食べさせるための仕立てなので、やはり焼き立てがベストかなと。
    あと、バターをしっかり敷いて焼かないと美味しくないです。

    編集部 バターがどうなったタイミングで生地を流すのですか?

    髙橋 溶けた段階で。色づける必要はないので、まあ、ぶくぶくいったら。……バターの香りがあればいいかなと。

    編集部 バターの香り。

    髙橋 はい。ホットケーキとか、バターがのっかってるじゃないですか? あれと同じです。ワッフルとかも。焼き立ての生地にバターって、最高じゃないですか。それがいいんですよね。

    編集部 今回は生地の中にソースが入っていて、上にかかっているパウダーは二種類ですね(乾燥マッシュルームと発酵マッシュルーム)。生地が美味しいのも、発酵のうまさと言っていたように思いますが。(生地にも発酵マッシュルームのパウダーが入っている)

    髙橋 そうですね。うまみはかなり出ます。ただ、キノコ(を発酵させるの)はけっこう、安定しないので失敗も多いです。同じ日に仕込んで同じ環境においても、においなどがそれぞれ違う状態になる。難しいです。

    編集部 以前、雑誌で発酵特集の取材を受けていらっしゃいましたよね。あれからけっこうやっているんですか?

    髙橋 いろいろ試していますけど、料理にいかすのはけっこう難しいですね。ああ、でも最近、(自家製で発酵させたものを)調味料の感覚で使ったりするようになってきました。
    以前は何かを自家製したら、それを前面に出さなくてはいけないような気持ちが強かったんですけど、その感覚が薄れて、店で持っているもの(素材)のひとつとして使えるようになってきたというか。たとえば、(発酵食材ではないが)トマトのコンソメをとって、それを主役にした何かを作るのではなくて、料理に何か少し酸味が欲しいと思った時に、たまたま厨房にトマトコンソメがあったから、じゃあそれを使おうか、といったような感じです。

    編集部 ああ、持っているものの中で料理をする……素材に対しての自由度が高まっている感じでしょうか。

     

    Fin.

     

    次回は「グレープフルーツのムース」をお届けする予定です。