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    Serial連載

    髙橋 雄二郎ル スプートニクのデザート

    Vol.5 グレープフルーツのムース

    グレープフルーツの風味がはっきりと感じられる、とても軽やかなムースです。仕込みのポイントは、果汁(ピュレ)にゼラチンで濃度をつけて撹拌し、泡状にしてからホイップクリームやメレンゲと合わせること。ピュレ自体が空気を含んで軽くなることに加え、クリーム・メレンゲと質感が揃って合わせやすくなり、通常よりも高い比率でピュレを混ぜ込むことができます。そのためグレープフルーツ特有の苦みもいき、後味がすっきりとします。

    PHOTO: MASAKO KAKIZAKI
    • Elément de configuration

    グレープフルーツのムースの構成要素

    下の各パーツをクリック(タップ)すると、作り方や使い方が表示されます。

    • ビスキュイ・ショコラ

      biscuit chocolat

      ビスキュイ・ショコラの作り方

      1. アーモンドパウダー、粉糖、卵黄、卵白を合わせてホイッパーで泡立て、リュバン状にする。
      2. メレンゲを立て、1/3量を1と合わせ、かたさをととのえる。
      3. 薄力粉、ココアパウダーを加えてさっくりと合わせ、残りのメレンゲを加えて合わせ、溶かしバターを加えて混ぜる。
      4. 3を天板に5㎜厚さにのばし、160~170℃のオーブンで12~14分焼く。直径3㎝に抜く。
    • グレープフルーツ果肉

      pamplemousse

      グレープフルーツ果肉

      皮をむいてほぐし、ザルで水気をきる。

    • グレープフルーツジュレ

      gelée de pamplemousse

      グレープフルーツジュレの作り方

      1. グレープフルーツ果汁を1/3量まで煮詰める。
      2. 1にハチミツ、グラニュー糖、レモン汁を加えて混ぜ、ゼラチンを加えて溶かし、半球型に流して冷凍する。
      3. 2をベジタブルゼラチン液にくぐらせて冷蔵庫で解凍する。
    • セルフィーユのグラス

      glace de cerfeuil

      セルフィーユのグラスの作り方

      1. 牛乳、グラニュー糖を合わせて沸かし、冷ます。
      2. 1をセルフィーユの葉とともにミキサーでまわす。
      3. 生クリーム、水あめを加えてまわし、漉す。アイスクリームマシンにかける。
    • グレープフルーツムース

      mousse au pamplemousse

      グレープフルーツムースの作り方

      1. (ミントムース)鍋に牛乳を沸かし、ミントの葉とともにミキサーにかける。
      2. ボウルに卵黄、グラニュー糖をすり混ぜる。1を加えて混ぜ、鍋に戻してアングレーズを炊く。
      3. ゼラチンを加えて溶かし、粗熱がとれたらミントリキュールを加えて混ぜる。
      4. 六分立ての生クリームを加えて混ぜる。
      5. バットに流して凍らせ、キューブ状にカットする。
      6. (グレープフルーツムース)グレープフルーツピュレ、レモンジュース、ジン、グラニュー糖を混ぜ合わせて50℃程度に温める。ゼラチンを加えて溶かす。
      7. 人肌よりやや冷たいくらいに冷まし、ミキシングボウルに移す。
      8. ミキサー(ホイッパー)にかけ、撹拌する。途中で氷水にあてて冷ましながらさらに撹拌する(メレンゲ状になる)。
      9. イタリアンメレンゲを立てて1/3量を8に加えて混ぜ、七分立てにした生クリームを加えて合わせる。残りのイタリアンメレンゲを加えて合わせる。
      10. 半球型に9を絞り、半分に切った5を埋め込み、冷凍する。(一皿に半球を2個使用)
    • 花びらの飴

      opaline

      花びらの飴の作り方

      1. 鍋にフォンダン、トレハロース、水アメを入れ、火にかけて160℃まで熱して溶かし、オーブンシートを敷いたバットに流して固める。
      2. 1をミキサー等で粉状に粉砕しながら、色粉を加えて色をつける。
      3. オーブンシートを敷いた天板に花びら形に抜いた紙型をのせ、2を厚みが均一になるようにふるう。
      4. 3の型を外し、200℃のオーブンで10秒ほど加熱し、溶かす。熱いうちに丸みをつける。
    • 花、セルフィーユの枝、パウダー

      fleurs,tige,poudre

      セルフィーユの枝、パウダーの作り方

      1. (セルフィーユの枝)粉糖、緑のパウダー(下記参照)、卵白を全て混ぜ合わせ、ねっとりとした状態にする。
      2. セルフィーユの茎を深めのバットに入れて全体がつかるように多めに水をはり、真空器にかける(水を含んでパリッとする)。
      3. 2の水気をきって1をぬり、緑のパウダーをかけてオーブンシートを敷いた天板に並べる。低温のオーブンで5分乾燥させ、形を整え、さらに15分乾燥させる。
      4. (緑のパウダー)ほうれん草、セルフィーユの葉をゆでて、合わせてミキサーでピュレにする。薄くのばして乾燥させ、パウダーにする。
      5. (フランボワーズパウダー/仕上がり写真にかかっている赤いパウダー)フランボワーズ(冷凍)を火にかけ、一度沸いたらバットに移してオーブンである程度乾燥させる。乾燥器でさらに乾燥させ、パウダーにする。

       

      花はセルフィーユ、ミント、フェンネル、コリアンダー等そのときにあるものを使用。

    組み立て

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ
    鉢状の皿を使用。

    Column こぼれ取材

    編集部  このムースはとても軽いとおっしゃっていましたね。その点について伺わせてください。

    髙橋  はい。グレープフルーツのピュレを撹拌して泡状にしています。軽くなるのはそのためです。

    編集部  ピュレが、泡になるのですか? メレンゲのように?

    髙橋  なります。もともと、これはエル・ブジの「ヌーベ」という泡のテクニックです(※ヌーベはスペイン語で雲の意味。ゼラチンを加えた液体を撹拌し泡状にする技法が用いられた)。普通だったら、これ(グレープフルーツピュレ)はしゃばしゃばの液体です。でも、しゃばしゃばと泡々(のメレンゲや生クリーム)は、(通常はうまく)混ざり合わないです。
    何かを混ぜ合わせる時は、質感(ここでは流動性や空気の含み具合などを指す)を合わせると混ぜやすくなります。ゼラチンを溶かしたピュレを冷やして、とろみをつけたところでメレンゲと混ぜてもよいのですが、今回の場合さらに軽くするために、ピュレを泡立てています。

    編集部  ゼラチンである程度とろみをつけたら、泡立てなくてもメレンゲなどと合わさるのでしょうか?

    髙橋  たぶん、合わさります。
    そもそも、なぜとろみをつけたり、泡立てたりしなければ混ざらないかというと、今回のレシピの場合、比率的に、結構な量のグレープフルーツピュレを使っているんです。普通のムースの配合だと、生クリームやイタメレのほうが多いのですが、今回のムースは、たぶん、あまりないような配合をしています。
    だから、こっち(ピュレ)を撹拌すればいいんじゃないかって。そうしたら、グレープフルーツの味がぼけずに……普通だったら、けっこうこっちのベース(ピュレ)の味を濃くしておかないと、イタメレや生クリームと合わせる分……ぼけちゃうじゃないですか。

    編集部  濃くしておくと言うのは具体的には?

    髙橋  煮詰めるとか。この方法だと煮詰める必要もないですし、ピュレのほうが多いので、味が残る。

    編集部  ピュレを煮詰めるのを嫌がる方、多いように思います。

    髙橋  劣化しますからね。色も落ちますし。

    編集部  ピュレの割合をここまで増やしたのは、何かヒントはあったのですか?

    髙橋  ええ、パティシエの方のムースの配合を見て、作ろうとしてみたんです。それは結構しゃばしゃばな液体に、「メレンゲがこれだけ?」という量で、混ぜられなくて、何度か失敗して。じゃあ、こっち(液体)をヌーベみたいに泡立てれば合わさるんじゃないかと。

    編集部  そうなんですね。デザートの味のポイントについてはいかがでしょうか?

    髙橋  今話したとおり、ムースにグレープフルーツの味がしっかり出ているところですね。それと、砂糖の量を抑えてあります。そうすると、苦いじゃないですか。パーツに食感の役割で飴を使っていますが、ムースが結構苦いので、飴の甘さをくどく感じない、ということもあります。

    編集部  デザートに苦味は好んで使われますか?

    髙橋  グレープフルーツや、晩白柚(おもに熊本で生産される大型の柑橘類)は好きで使いますね。今度、チョコレートと合わせようかなと。グレープフルーツとチョコレートってあんまりないじゃないですか? あるにはありますけど、けっこう難易度が高いと思います。

    編集部  難易度が高いとは?

    髙橋  合わせるのが難しい気がします。合わせて美味しいのは、あんまりないかなと。

    編集部  では、今度はそういうデザートを楽しみにしていますね。

     

    Fin.

     

    次回は「メレンゲとマンゴーココナッツ」をお届けする予定です。