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    Serial連載

    髙橋 雄二郎ル スプートニクのデザート

    Vol.7 パンペルデュ

    バナナのキャラメリゼをのせた、焼きたて熱々が美味しいパンペルデュ。ル スプートニクではあまり出ない、少し珍しいデザートです。甘みを抑え、パンはブリオッシュを使って歯切れよく焼き上げます。レストランらしく仕上げられた一皿ですが、「美味しくても、ガストロノミーとしては出しづらい」と話した髙橋シェフ。その理由はコラムで伺いました。

    PHOTO: MASAKO KAKIZAKI
    • Elément de configuration

    パンペルデュの構成要素

    下の各パーツをクリック(タップ)すると、作り方や使い方が表示されます。

    • パンペルデュ

      Brioche, Appareille, Beurre

      パンペルデュの作り方

      1. (ブリオッシュ)全卵、牛乳、中力粉、強力粉、グラニュー糖、トレモリン、モルト、生イースト、塩を合わせてミキサーにかける。全体がまとまったらバターを加えてさらにまわす。生地がまとまってきたら2~3時間一次発酵させ、ガス抜きする。
      2. 5㎝×5㎝×高さ4㎝のセルクルの内側にオーブンシートを沿わせ、生地を入れ、2時間ほど二次発酵させる。
      3. 170℃のオーブンで10~15分焼く。
      4. (アパレイユ)グラニュー糖、レモンの皮、牛乳、生クリーム、卵黄を混ぜ合わせ、バニラビーンズを加えて混ぜる。
      5. 正方形にカットしたブリオッシュに4をしみ込ませ、盛りつけ直前にバターで焼く。
    • ラムレーズンのグラス

      Glace Rhum Raisins

      ラムレーズンのグラスの作り方

      1. 鍋に牛乳、生クリーム、バニラビーンを合わせて沸かす。
      2. ボウルに卵黄とグラニュー糖をすり混ぜ、1を加えて混ぜ、鍋に戻して炊き上げる。急冷する。
      3. 2にラム酒にひたしたレーズンを加え、アイスクリームマシンにかける。
    • バナナのキャラメリゼ

      バナナのキャラメリゼの作り方

      1. 盛りつけ直前にバナナをグラニュー糖でキャラメリゼし、ラム酒でフランベする。
    • ナッツ

      ナッツ

      ピスタチオ、ヘーゼルナッツ。仕上げに散らします。

    • キャラメルソース

      キャラメルソースの作り方

      1. グラニュー糖を鍋でキャラメリゼし、温めた生クリームを少しずつ加えて混ぜる。バニラビーンズを加えてそのまま冷ます。
      2. 生クリームを加えて漉す。
    • 赤ワインソース

      赤ワインソースの作り方

      1. 鍋にグラニュー糖を入れて火にかけ、キャラメリゼする。
      2. 赤ワインを加えて煮詰め、ハチミツ、シナモン、カルダモン、クローブを加えて煮詰める。

    組み立て

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ
    平皿を使用。

    Column こぼれ取材

    編集部  撮影の際、このデザートを作るのを少し迷っていらしたように思いましたが。

    髙橋  ああ、ビジュアル的に、うまくもっていけるかなあ、というところで。
    料理教室でやっていたメニューなんです。もともとブリオッシュは、フォワグラなどの料理で使うために作っていたので、料理教室でデザートを何にしようかとなったときに、ブリオッシュでパンペルデュにしようかと。

    そのときは、ソースは客席でかけずに、全体にかけて仕上げたんです。ブリオッシュも、焼いたままの山形になっているものを半分に切って焼いて。けっこう、いなたい(野暮ったい)感じなんですよ。今回は正方形にしてレストランっぽくしようかなと。

    編集部  料理教室のメニューは、どのような基準で決めているのですか?

    髙橋  一度に20人分くらいを出さなくてはいけないので、それが可能なものです。時間のかかる盛りつけや、盛りつけてからもたないものは、難しいですね。

    編集部  今回盛りつけで悩まれたということでしたが、たとえば撮影でしていただいた盛りつけであれば、普段の営業で出しますか?

    髙橋  お得意さんだったら出します。そうでなかったら出しづらいです。

    編集部  どうしてでしょうか?

    髙橋  (お店のコースが)皿数が多いので、ちょっとボリューム的にというところと……まあ、甘さはけっこう控えて作っていますし、ブリオッシュは(食パンなどに比べ)歯切れもよいので、ボリュームの割には食べやすいと思うんですけど、仕立て的には普通じゃないですか?

    編集部  味がイメージしやすいかもしれませんね。

    髙橋  うちのお店でなくても食べられそうかなっていう……一応、ガストロノミーをやるという前提で、自分はレストランをやっているので……ガストロノミーって、じゃあなんなのか、という話になった時に自分が考えるのは、お皿に付加価値がついていることです。新しい価値の提案ができるということです。

    味のバランスは、コースの流れに合うように作るのですが、その(付加価値の)点が。

    編集部  お得意さまに提供したときの反応はどうですか?

    髙橋  アヴァン・デセールのブリュレ(Vol.6のこぼれ取材参照)の反応がよくて、そっちに(より強い印象を)持っていかれがちです。

    料理教室のときは、すごく評判がよかったです。……いやいや、(通常の営業でも)評判はいいですよ(笑)。ただ、新しい味の出会いはないなと。さっき(Vol.6で)言ったみたいに、ブリュレにハーブがたくさんのって食べやすくなっているというのが、今まで食べたことがない(と受け取られる)。そういうのに持っていかれがちです、こういう仕立てのものは。美味しいですけど。

    (編集部も)撮影の日に、(Vol.6の)メレンゲとこれ(パンペルデュ)、食べたじゃないですか。それで、メレンゲに持っていかれてたじゃないですか?

    編集部  確かに。メレンゲのお皿に、新鮮さを感じました。

    髙橋  だから、そうなんですよ。食べたことがなかったから、反応するわけじゃないですか。これ(パンペルデュ)は美味しかったかもしれないですけど、食べたことがある(味)じゃないですか。そこが、違いかなと。

    編集部  ガストロノミーとの、線引きのひとつですか。

     

    Fin.