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    Serial連載

    髙橋 雄二郎ル スプートニクのデザート

    Vol.8 柚子スフレ

    香りを楽しむアバンデセール(1皿目の軽いデザート)。生地に果汁で酸味をきかせ、柚子釜で焼き上げて皮の香りをいかします。仕上げにかけているのはチーズと酒粕のパウダーアイス。一緒に食べるとスフレチーズケーキをイメージする親しみやすい味に感じられますが、柚子と相性のよい酒粕の風味がフックになり、食後まで印象を残します。

    PHOTO: MASAKO KAKIZAKI
    • Elément de configuration

    柚子スフレの作り方

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ
    柚子は上部を切り落とし、中をくりぬいて柚子釜にする。上部の果汁をしぼり、くり抜いた中身も果汁をしぼる。

    Column こぼれ取材

    編集部 柚子のデザートは、他にも一品取材させていただいていますね(近日公開予定)。

    髙橋 柚子が好きで。柑橘が好きなんですよ。トーストにぬったりするジャムでも、イチゴよりもママレードが好きです。今回のデザートに関しては、日向夏でも作ることがありますが、柚子と晩白柚(ばんぺいゆ)ですかね、冬は。

    編集部 柚子は和の素材のイメージを持つ人もいるかと思いますが、それを意識されることはありますか?

    髙橋 とくにないです。

    編集部 本当に、好きな素材だから使っているという感じなんですね。デザートで使うときのポイントはどんなところでしょうか。

    髙橋 香りと酸味をいかしたいです。独特の柚子の香り。皮の部分に強くあるので、柚子釜にしています。火入れだけで考えたらココットのほうがきれいに上がりますが、客席に出したときに、より素材が強調されるかなと。

    香りを楽しんでもらうための仕立てなので、ココットのようにはきれいに上がらなくても、お客さんは許してくれるかなと(笑)。

    編集部 (笑)柚子釜で出てきたら可愛いですしね。酸味はどのようにいかしているのでしょうか。

    髙橋 果汁をスフレ生地に入れています。スフレの生地自体は酸っぱい。それで、チーズのアイスと合わせています。チーズケーキにレモン汁を入れるようなイメージです。一緒に食べるとそういう感じになるかなと。

    編集部 加熱すると酸味が弱くなることはないですか?

    髙橋 柚子の酸味は加熱してもそんなにとばないです。ただ、相当たっぷり使うので、柚子釜にした分のジュースでは足りないです。

    編集部 スフレの作り方で難しいのはどんなところでしょうか。

    髙橋 メレンゲをしっかりころす(適度に潰す)ことだと思います。そのほうが生地の上がりがいいです。逆に、上げようと思って混ぜが足りないと、本当に上がりがバラつくというか、あばれてしまいます(上に持ち上がらずあふれたりする)。

    編集部 「スフレ」自体がそういうものなのでしょうか? 今回のレシピに限らず。

    髙橋 ええ、僕はそうしています。

    編集部 ベースのパティシエール(カスタードクリーム)をメレンゲと混ぜるときに、温めるのはなぜでしょう?

    髙橋 パティシエールは小麦粉が入っているので、冷えていると固まってメレンゲとうまく混ざらないからです。ムラなく混ぜるのも大切なので。温度はそんなに気にせず、ゆるめられればいいです。

    編集部 スフレにかけるパウダーアイスですが、最初はシンプルにチーズ味だったのが、今年から酒粕入りに変わったと伺いました。どうしてでしょうか?

    髙橋 味的に(柚子と)相性がよいからです。柚子のもうひとつのデザート(前出)に酒粕アイスをつけているのですが、その組み合わせがいいなと思っていて……もともとそういう発想だったので、レシピはそれぞれのデザート用に作ったチーズアイスと酒粕アイスを混ぜて、そこに風味の補強のために、酒粕と日本酒を加えています。「チーズケーキ」で終わるよりも、酒粕の感じが入っているほうが、風味がプラスされて面白いかなと。

    編集部 酒粕と日本酒。

    和の要素が強まっているように思いますが、そうしたイメージではなく、あくまで味の相性、でしょうか。

    髙橋 そうです。

     

    Fin.

    次回は「柚子とショコラのムース」をお届けする予定です。