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    Serial連載

    髙橋 雄二郎ル スプートニクのデザート

    Vol.9 柚子とショコラのムース

    柚子風味のジュレとクリームを、チョコレートのムースで包み、さらに泡立てた生クリームで覆っています。ムースの濃厚さをジュレとクリームがやわらげるため、食べ口は軽い印象。ですが、チョコレートに酸味のあるものを使用することで、その酸味が柚子の風味に同調し、季節の素材に存在感を与えています。薄い飴の、かしゃんと壊れる食感がアクセントです。

    PHOTO: MASAKO KAKIZAKI

    Elément de configuration

    柚子とショコラのムースの構成要素

    下の各パーツをクリック(タップ)すると、作り方や使い方が表示されます。

    • 菜の花

      Fleurs

      菜の花

      咲いた花を使用。飾りに使う分を組み立てるときに摘み取ります。

    • ムースマンジャリ

      mousse au chocolat

      ムースマンジャリ

      1. 牛乳を沸かし、卵黄とグラニュー糖をすり混ぜたボウルに加えて混ぜ、鍋に戻して炊く。
      2. ボウルに刻んだチョコレート(マンジャリ)を入れ、1を加えて混ぜる。ハンドミキサーで撹拌し、氷水にあてて混ぜながら冷やす。
      3. 35℃くらいになったら六分立ての生クリームとさっくりと合わせる。絞り袋に詰め、半球型にカップ状に偶数個絞り、冷蔵庫で冷やす。
      4. カップ状に固まったムースの半数には柚子のジュレを、半数にはクレーム・ド・柚子を絞り、冷蔵庫で冷やす。型から外し、ジュレとクレームの半球を合わせ、球状にする。
    • 柚子のジュレ

      gelée de Yuzu

      柚子のジュレ

      1. 水、ハチミツ、柚子の皮(すりおろし)、グラニュー糖、柚子果汁を鍋に入れて沸かし、ゼラチンを加えて溶かし、漉す。
      2. 固まってきたら、ムースマンジャリの作り方4を参照して絞る。
    • クレーム・ド・柚子

      crème de Yuzu

      クレーム・ド・柚子

      1. 牛乳を沸かしてグラニュー糖を溶かして粗熱を取る。
      2. 1にゼラチンを溶かした柚子ジュース、柚子の皮を入れて風味を移す。温度が落ちてきたら(30℃くらい)六分立てにした生クリームと合わせる。
      3. ムースマンジャリの作り方4を参照して絞る。
    • クレームシャンティイ

      crème chantilly

      クレームシャンティイ

      1. 生クリームにグラニュー糖を加えて泡立てる。
    • ダックワーズ生地

      Dacquoise

      ダックワーズ生地

      1. アーモンドプードル、粉糖、薄力粉を合わせてふるう。
      2. 卵白とグラニュー糖でメレンゲを作り、レモン汁を加えて混ぜる。
      3. 粉類を加えてさっくりと合わせ、5㎜厚さくらいにのばしてオーブンで焼く。
    • 柚子

      Yuzu

      柚子

      組み立て時に皮をすりおろして使います。

    • 花びらのオパリーヌ

      opaline

      花びらのオパリーヌ

      1. 鍋にフォンダン、トレハロース、水あめを入れ、160℃まで熱して溶かす。
      2. オーブンシートを敷いたバットに流して固め、ミキサーなどで粉砕して粉末状にする。
      3. 半球状のシリコン型を裏面を上にして置き(凸面が上になる)、オイルスプレーをふきつける。2を茶こしでふるい、オーブンで加熱して溶かし、熱いうちにはがす。
    • 酒粕のアイス

      glace au Sakekasu

      酒粕のアイス

      1. 鍋に牛乳、生クリーム、酒粕、バニラビーンズを合わせて沸かす。
      2. ボウルに卵黄、グラニュー糖を合わせてすり混ぜ、1を加えて混ぜ、鍋に戻して炊き、漉して急冷する。
      3. トレモリン、日本酒を加えて混ぜ、アイスクリームマシンにかける。

    柚子とショコラのムースの組み立て

    円柱状に冷やし固めたオパリーヌ
    平皿を使用。ムースマンジャリをクレームシャンティイで包んでから、皿に移して仕上げていきます。

    Column こぼれ取材

    編集部 ムースには作り方がいろいろあると思うのですが、どういうもののときはどういう方法を選ぶ、というのはあるんですか?

    髙橋 今回のようなチョコレートで言うと、アングレーズか、パータボンブベースが多いですね。舌触り、なめらかさを重視するとアングレーズ。空気感を出す、ふんわりという感じだと、ボンブベースかなと。

    編集部 空気の入り方が違うということでしょうか。

    髙橋 そうです。アングレーズベースの場合は、そこに合わせる生クリームしか空気を含んでいないですよね。ボンブはそもそも、卵黄が立っている(気泡を含んでいる)ので。

    編集部 チョコに限らない場合は、他にどんなものがありますか?

    髙橋 たとえば、フルーツのピュレとかを合わせるときは、イタリアンメレンゲを使うことがすごく多いですよね。

    編集部 チョコレートにイタリアンメレンゲを用いないのはどうしてなのでしょう?

    髙橋 甘くなるからじゃないですか。チョコレートのときは加糖が控えめです。それに、凝固剤もあまり入れないです。

    編集部 チョコレートはもともと甘いものが多いし、そのものがかたまる、ということですね。

    髙橋 そうですね。ムースは難しいパーツだと思います。以前も話しましたが(Vol.5 グレープフルーツのムース)、パティシエさんのレシピを見ると、ものすごくしゃばしゃばなピュレにイタリアンメレンゲを合わせるものもあって、そういうムースは、実際お店のケーキを食べてみると、口の中でシュワッと消えるような感覚になります。つながるかつながらないかのぎりぎりのところで保形しているのでしょうね。

    編集部 今回の柚子のデザートに関しては、わりと軽いというか、淡いように作っていると言っていましたが。

    髙橋 チョコレートのムースだけで見ると、そこまでではないです。全体のイメージですね。ジュレと、柚子クリームの比率が高いです。ムース自体は、普通だと思います。

    編集部 パッションマンゴーチョコレートのデザートは強いように思いました(※このデザートは別の回で紹介予定です)。

    髙橋 あれは、ボンブベースで、チョコレートも風味の強いものを使っているので、それもあると思います。

    編集部 チョコレートも違うんですね。

    髙橋 はい。今回使っているものは酸味が特徴です。

    編集部 柚子に合わせてこのチョコレートに?

    髙橋 そうですね。柚子の酸味と……定番でいうと、今回のチョコレートはフランボワーズに合わせることが多いです。

    編集部 柚子やフランボワーズに、酸味のチョコレートを合わせるのはどうしてでしょうか?

    髙橋 なんて言えばよいか……ワインと似ていて、ワインと料理も、タンニンとタンニン、酸に酸という合わせ方もあるじゃないですか。同じような感じでチョコレートも、素材と組み合わせていくことが多いです。それで、やっぱり質感、味の質を合わせたほうがいいと思います。あんまり近くないものは、合わせないほうがいいのかなと。でも、たとえばホワイトチョコレートと柚子だと、逆じゃないですか。甘いのと酸っぱいの。それは、甘酸っぱくしたいという意味で、その組み合わせにするときもあります。そういう組み合わせか、相乗効果で酸と酸、とかですかね。